食物繊維を摂りすぎるとどうなる?

食物繊維を摂りすぎで起こる体への影響とは?

健康のために食物繊維を摂ることが大事というのはいろいろなところで言われていますので、気を使う人は野菜などを意識して多く食べるようにしています。
確かに、食物繊維は血糖値の急激な上昇をセーブしてくれたり、便通を良くしてくれたりとたくさんの良い働きをします。
しかし、それもあくまでバランスの取れた量であるということが条件です。

というのも、そもそも食物繊維というのは腸内で消化できずに排出される物質のことです。
そのため、一緒に摂取した脂質や糖質などの吸収を妨げるという効果を示してくれます。
しかし過剰に摂取すると、有用なミネラルやビタミンなどの栄養素の摂取も妨害してしまうことになります。
すべての食物繊維がこうした有用な栄養素の吸収を妨げるわけではありませんので、いろいろな種類の食品を食べることが重要です。

また、消化されないため腸管に刺激を与えて便通を良くしてくれるのが食物繊維の良いところです。
しかし、摂り過ぎると逆に下痢や腹痛を引き起こすことになります。
水溶性食物繊維もその傾向があり、腸内で水分を吸収し溶けてゲル状に変化します。
これが便通を良くする原因なのですが、摂り過ぎるとその吸収する水分が多くなってしまって下痢をもたらすのです。
また、腸管への刺激が強くなりますので、腹痛を起こすこともあります。

一般的に食物繊維は便秘解消に役立つとされていますが、時に逆効果を生み出すことがあります。
それは、不溶性食物繊維を摂り過ぎると起こりえることです。
この不溶性食物繊維は大腸への刺激が強い傾向があり、それが大腸の収縮を増進させて「痙攣性便秘」というタイプの便秘を引き起こしてしまうのです。
不溶性食物繊維は便の量を増やす働きもしますので、余計にお腹が張って苦しいといった症状を起こすことがあります。

食物繊維の適切な量とは?

このように、食物繊維は適度に摂ることが重要であると理解できます。
その適切な量として厚生労働省が指針を示しており、成人男性の場合は1日当たり21g以上、女性であれば18g以上摂ることを推奨しています。
ですから、これより少し多い程度の摂取量を目指すと良いです。
逆に、この推奨値よりもあまりにも多い食物繊維を摂ると、上記のような問題を引き起こすことがありますので注意が必要です。

ちなみに食物繊維の平均摂取量を見ると、どの年代でも推奨値よりもかなり少ない状況です。
たとえば20歳代の男性は13g弱となっていますし、30歳代、40歳代でも14g未満です。
こうしたことから、全体としては毎日の食生活の中で野菜の摂取が足りないということですので、意識して食卓に加えることが大事です。
その上で、バランスを考えて摂り過ぎには注意しましょう。